<聴竹居>本当に80年以上前の家?! (1) 客室

聴竹居(ちょうちくきょ)とは・・・

建築家、藤井厚二の設計した家。

1928年竣工の第5の藤井厚二の自宅。そう、この家は80年以上前に建てられた家です。

 

藤井厚二

1888-1938 大正昭和時代前期建築学者
style=”color: #000000;”> 明治21年12月8日生まれ。竹中工務店をへて,大正15年京都帝大教授となる。

 

先日、「聴竹居」の内覧があり、とても感動しました。

恥ずかしながら、私は藤井厚二という方も存じず「大山崎山荘美術館」の聴講ツアーに参加した事から「聴竹居」を訪れる事となり、出会う事ができました。

 

感動した点は、「全て」です。

80年以上前の建築物において、機能・エコ・ユニバーサルデザインである事、ひとつひとつに驚きました。

どこを切り取っても、設計や設備の全てに理由が工夫があります。

ほんの一部を紹介していきます。

 

客室

お客様をもてなす客室は非常にモダンでありながら、和洋を取り入れたつくりになっていました。全て当時のままです。。

 

 

ベンチソファ

 

藤井氏が特に好んだとされる窓際にある「ベンチソファ」。

椅子だと来客が増えた際に椅子を増やさなければならないが、

ベンチソファならある程度人が増えても座れる事から、好んだそうで、藤井氏の建築には多くみられます。

 

 椅子

家具も藤井氏本人がデザインしています。

椅子の骨組みに大小の三角が2つありますが、この2つの三角が強度を高めているそうです。

また、背もたれが小さいのは、当時まだ着物を着ている人も多く、帯がくずれないように配慮されています。

椅子の骨自身も左の背もたれの上の部分から、斜め下にまっすぐ伸びている木、こちらは下にいくにつれて太くなっています。

これは線が細い方が美しいという観点から、上から見た細さが下にも続くように見せる工夫がされています。

 

こちらも、またモダンなデザインの机です。

二枚の天板でできていますが、上の板と下の板の大きさは異なり、下の板の方が小さくて、中のカーブが大きいです。

これも着物を着ている方を想定して設計されています。着物の方は足をとじているので、

そのまま足がおきやすいデザインになっています。デザインを追求しながらも、機能も忘れていません。

 

床の間

モダンな客室の中にも和の要素がたくさんあります。

椅子の後ろにある「床の間」です。

通常の和室の床の間よりも高くつくられています、それは椅子に座る人の目線を考慮した高さで設計されています。

こちらには、和の掛け軸と洋の絵画が2つ飾れる設計となっています。

そして、その床の間に光をあてる照明も工夫されています。

客室を照らす照明はこちらです。

 

これを床の間側から見ると・・・

裏側が和紙でできてやわらかな光を取り込み、その光で床の間を照らしています。

天井のたれ壁がうまく利用されています。

 

一輪ざし

通常床の間に使用される「床柱」は太い桧や松などが使用されていますが、この部屋には「竹」が使用されており非常に珍しいです。

ここで「竹」を使用したかった訳はこちらの「一輪ざし」をする為です。

この一輪ざしの高さもまた、椅子に座った時の目線を意識した設計だそうです。

 

以上。今回は、「客室」のみのご紹介でした。

「客室」だけでも、まだまだご紹介出来ていない部分はたくさんありますが、今回はこの辺で・・・。

 

■聴竹居 http://www.chochikukyo.com/
■大山崎山荘美術館 http://www.asahibeer-oyamazaki.com/