昭和初期の現役建築、綿業会館を訪問(前編)

大阪本町に残る綿業会館に訪問しました。

建築好きにはたまらないひと時でした。

 

以前より、この付近を通るたびに気になっていた建築物。

今回ご縁があり、こちらの建物見学ツアーに参加させていただきました。

見学会は比較的予約がとりやすようですが、見学ツアーとランチセットのコースは予約待ちです。

(親友が2ヶ月前から予約してくれました、ありがとう♪)

 

 

 

この「綿業会館」は昭和6年に竣工。

東洋紡績の重役、岡常夫の遺産を元に紡績関係企業から基金を集めて設立されました。

現在は重要文化財に指定されています。

 

 

歴史

当時の綿業は、明治時代の生糸をしのぎ、大正末から昭和初期の主要輸出品でした。

そんな綿業を支える為に人が集える場所として設立された本建築。

戦争の時代も生きてきたこちらの建物、大阪大空襲では窓ガラス1枚、カーテン1枚の被害と最小限にとどまる、建築の強さを見せました。

戦争を乗り越えた力強さと、圧倒的に施された建築が、今でも当時の大阪の華やかさを伝えて存在感を放っています。

 

建築

この建築担当を任されたのは「渡辺節」氏です。

渡辺氏は大阪ビルヂング(通称ダイビル)や京都駅を設計した人物でもある。その渡辺氏と共に村野藤吾による設計で建築されました。

鉄筋鉄骨つくりで、当時から最先端の設備を備え、建物の配管等はすべて壁に埋め込まれ、今もそのスペースは配管スペースとして

利用されているそうです。

 

 

エントランス

エントランスはイタリアのルネサンス風を意識しているようです。

床はトラバーチの大理石を利用し、大きなエントランスでないのに圧倒される雰囲気です。

エントランスで一番私をひきつけたのはガラス扉です。扉は鉄を使用して、とても繊細なデザインが施され、そこサンドグラスがはめ込まれています。

 

 

エントランスを通りぬけると吹き抜けの玄関ホールはジャコビアンスタイル。

シンメトリーで建築されたホールはとても開放感があり、中央のシャンデリアがとてもきれいでエントランスの豪華さを引き立てています。

 

 

 

食堂

こちらは1Fの食堂です。

広々とした食堂にも様々な工夫が施されています。

 

こちらは食堂の天井です、当時アメリカで流行していたデザインで「ミューラル デコレーション」で木と漆喰でできています。

ぼやけていますが中央に見える時計はこの当時では珍しい、電気時計を使用しています。

 

食堂の壁は一見トラバーチのような石でできているように見えますが、こちらはすべて木でできています。

食堂のスペースには食器やカトラリーの音が響くため、音を吸収できるように工夫されています。

もちろん木の下は鉄筋鉄骨ですので、鉄筋鉄骨の上にトラバーチ調の模様を彫った木で覆っていることになります。

 

 

今回はとても簡単ですが1階を案内させていただきました。

次回は2階編でお願いします。

 

 

 

綿業会館

http://www.mengyo-club.or.jp/

〒541-0051 大阪市中央区備後町2丁目5番8号